[1999.08.07]
  ワイヤード上の情報について


 ▼覚せい剤購入方法をネットで指南 大阪府警が全国初摘発(asahi.com)
  http://www.asahi.com/0805/news/national05042.html


 ワイヤードは,この世界にあるすべての情報を内包することを最終目標としている。「すべての情報」となるからには,それに眉をひそめる人がいる情報もあるだろう。だが,それも,人の知,のひとつ,であるのだ…。

 大阪府警保安二課と西成署などは,大阪市西成区「あいりん地区」での覚醒剤の購入方法をインターネットのホームページ「誘惑」(削除済み)で指南したとして,兵庫県の無職男性(22)を麻薬特例法違反の「そそのかし」の条文を適用して逮捕した。この条文を適用しての摘発は今回が初めて。男のホームページは約5ヶ月間で13万回のアクセスがあり,細かい購入の際の注意事項なども示していたという。

 逮捕された男性のページはここ。有料・無料で情報を提供していたが,摘発の要件は無料の方らしい。このニュースで重要な点は,実際にホームページ上で_販売していた_,と云うのではなく,そのような情報を_流していた_だけ,ということ。ならば,実際にソフトを配付したりしてなくても,「ワレズのやり方」とかの解説サイトをやっているだけで,著作権法に「そそのかし」とかいう条文を付ければ(いや,詳しくは知らないけどきっと幇助した場合に関する条文もありそうな気もする)摘発されちゃうってこと? まぁ覚醒剤は,昔も今も特に厳しく取り締まられているもののひとつ,だが…。

 「すべての情報はシェアされなければならない」。ワイヤードでは,すべての情報はフリー・ネットワークストリームに乗っていなくてはいけない。情報がシェアされて初めて,ネットワークはネットワークとしての価値を得る,力を得る。倫理的に許されない情報であれ,また実行に移した場合に法律的に許されない情報であれ,それを求めるかぎりは,手に取ることができるフィールドであるべきだ,と思う。その情報を知ったからといって,それを実行したり,悪用したりするかどうかは別問題。「情報の提供」だけをとらえて,罰する権利を,リアルワールドが持って欲しくない。強く,そう思う。


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